公認会計士はなぜ立場が弱いのか

実務補修所ではやたらとノブレス・オブリージュを説かれたので黙っていましたが、やっぱり公認会計士って難易度に比べて圧倒的に不遇だと思います。公認会計士と不動産鑑定士だけが「三大国家資格」だなんて自称しますが、公認会計士は医師と弁護士とは全然違った弱い立場にいると思います。

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給料が低い

まず、圧倒的に給与が安いです。莫大な物量の試験を潜り抜けた後、天才としのぎを削って勝ち残った者のみが40代以降にようやく勝ち取れるパートナーの地位で年収1,500万円~と激安です。弁護士大手事務所であれば3年目くらいの報酬です。

まず、Big4(EY、デロイト、KPMG、PwC)の看板を掲げる監査法人はメンバーファーム、つまりフランチャイジーに加入している事務所というだけで、監査メソドロジー料やブランド使用料などを本体に徴収されています。これが利益圧迫要因になっていることは間違いありません。

また、そもそも待遇がイマイチだったのにJ-SOX導入期あたりに某社が新規クライアント獲得のために監査報酬をダンピングし始めたことで業界としてさらに収益性が低下してしまいました。最近になって報酬交渉をしたりクライアントを選別したりして収益性改善を狙うも、職員の待遇は若干よくなった程度で、インフレ・円安と比べると勝っているのか負けているのかよくわからんという印象です。

構造的欠陥

公認会計士の倫理規則に独立性という規定があり、「正しい判断をするためにクライアントから独立した立場を維持しろよ」と決められています。昔の会計士は接待漬けだったらしいですが、僕がいた頃には独立性の観点で過度な接待はお断りするようになっていました。ただ、そもそも論として監査報酬はクライアントから徴収するので独立性もクソもあったもんじゃありません。売上のすべてをクライアントに依存しているのですから、そんなものは建前でしかありません。

また、クライアントからしてみれば監査をしても売上が増えるわけでもないし、費用や税金が減るわけでもなく、むしろ手間とコストが増えるだけなので、邪魔な存在でしかないと思われていることがほとんどです。稀に監査の指導的機能などにより感謝されることもありましたが、会計士はクライアントから報酬をもらいながらもクライアントのためではなくて投資者と債権者のために働くので、クライアントから感謝される仕事ではなくてあるべきなのです。

クライアントからお金をもらうことで生活していること、それでいてクライアントの役に立たないことは内外どちらから見ても明らかなので、監査法人・公認会計士をなめ腐ってるクライアントばかりでした。有能が揃った上場会社経理部門に知識レベルが劣ってバカにされるというような話であれば仕方がないように思えますが、くだらないイジメ・パワハラのような攻撃も少なくありませんでした。

ただ、クライアントに嫌われる原因を作っている面もあって、おそらくどこの監査法人もクライアントからのクレームの第一位は「毎年新人が同じ質問をしてくる」だと思います。試験内容と現場での立ち回りの関係性が薄すぎること、そもそも情報量が多すぎて引継ぎきれないこと、能力が低い担当者が配属されるとその代で引継ぎが途絶えること、同じことでも今の状況として再度聞かなくてはならない、など色々な原因がありますが、これは解決しない、仕方のない問題なのだと思います。

また、会計士には強制調査権はなく、日本の制度監査では市場影響が大きすぎることを懸念してか、「不適正意見」も出ません。そのくせ会計不正が発生した場合は監査法人の責任を問われます。パートナーローテーションでたまたま受け持ったクライアントがいきなり会計不正を起こして処罰され、監査報告書のサイナーになれなくなるというような事故も起きたりするので、運ゲーの爆弾回しのような要素もあります。こんな責任を負って年収1,500万円~だなんてふざけているとしか思えません。

資格を活かしにくい

公認会計士の仕事はあくまでも監査です。それとは別に「2項業務」と呼ばれるコンサルティング業務がありますが、これは資格と関係がありません。具体的にはFASで提供している財務デューデリジェンスなどの業務などがそれに該当し、何ら資格を必要とせずに実施することができます。「独立」している人達は、主に税理士登録をして税務を提供したり、資格不要のコンサルティング業務を提供したりしています。個人で実施できる監査業務は存在しないことはないのですが、ほとんど聞きません。つまり、監査法人を辞めた人たちは基本的に会計士としての地位に基づく業務は提供していないのです。ちなみに僕はそれらの周辺業務すらしておらず、信用を獲得するために会計士登録を続けて名刺に掲載しているだけです。

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